【LETTER WEEK コラム】 – わたし宛に、手紙が届いた – vol.12
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『 交わしたことば、記憶の蓄積 』
from 韓国
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2020年、2月。梅の花が咲きはじめる頃。
旅の終わりを知らせる一通の手紙が届いた。
だいすきな紙を巡り、ひとりで世界を旅したゆいちゃんからの、12通目の手紙。
ついにきたかぁ。
2019年春にタイから初めて手紙が届いたときの「ついにきた」とはちがう感情。
興奮よりも 祝福が、わたしの心のなかにうまれていた。
300日間15ヵ国の紙を巡る旅を、手紙をとおして受けとり続けた日々。
ゆいちゃんがみていた旅の風景にふれ、知らなかった彼女の一面と、
わたし自身のことを知ってきた。
会えないけれど、たしかにことばを交わしてきた。
日々過ぎていく、見えない時間の足跡が、手紙に残る。
この一年間はわたしにとっても特別だった。
場所を持ちはじめた、特別な一年。
どこかを旅していても、どこかに場所をもっていたとしても、
手探りだったわたしたちは、互いに必要な力を贈りあっていたようにおもう。
交わしたことばと、手探りの日々の記憶が蓄積された手紙。
それらは、ことばを放ったあともよろこびを育み、
わたしたちの心のなかを どこまでもやさしく旅をする。
きっとわたしも、
手紙が寄り添ってくれたこの一年を、忘れないとおもう。
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手紙 送り主 : kami/ なみえゆい 『世界の紙を巡る旅』
手紙 もらったひと:栞や さなえ
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