こんぴらさん参道に描く『シャッターアート』/ 【制作前の心境】 :絵描き 幸山将大さん

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“ひとり旅” をテーマに描いた、四季折々の絵を展示している『栞や』。

その絵を描いてくれている 絵描きの幸山さんが、先日琴平を訪れました。

 

 

幸山さんは、来たる 2019年9月22日(日)から

『栞や』からすぐのこんぴらさん参道で『シャッターアート制作』を実施します。

 

描くのは、大きなくじらの絵。

観光客や地元の方にも、一部参加してもらう予定です。

 

水の神さまである、こんぴらさん。夢や希望の象徴でもある『くじら』を描きます。

 

その下見に訪れたとき、いまの『栞や』にも立ち寄ってもらいました。

 

幸山さん:(自分の絵が展示されている空間にきて)すごくそわそわする。

来てみんとわからんね。写真で見るのと全然ちがう。

 

 

話題は、今年2月の『タビサキ』というイベントで、 みんなと大きな絵を描いたときの話へ。

その絵を先日、岡山県の上山にて、お焚き上げしました。

 

幸山さん:お焚き上げ、めっちゃよかったね。

 

うん、よかったね。

 

 

幸山さん:「燃える」ってすごいなと思った。

人が死んだら火葬場に行くけど、棺閉めて 待って、開けたら もう無いじゃん。

見えないんだよね、過程が。

どんな色で燃えて、どんな感じで燃えていって 無くなっていくのか。

それを全部見た感じになって、「めっちゃいいやん!」ってなった。

それを自分がすごい大事にしたもの(絵)でできたのがすごくよかった。

 

約6時間くらい描き続けていたんじゃないかなぁ、というライブペイントの作品。いきものだった。

 

絵って何?

 

幸山さんにはじめてお話を伺ったのは、2017年の12月のインタビュー記事でした。

当時、『絵を描くことは自分自身と向き合う旅のようなもの』だと語ってくれた彼。

あれから約2年が経ち、いま絵に対してどのような気持ちで向き合っているのか伺ってみました。

 

幸山さん: “自分のコントロールしたいように色彩を置いて、形をコントロールして、

納得いく画面ができて完成” みたいなところじゃないところ を、今、広げていくことがどんどん増えていて。

 

「大人の絵は対話だ」はしゃぎながら、躊躇しながら、想い想いに一筆描いてみる。

 

幸山さん:2月の『タビサキ』でドカーンってなった。

「あ、もう残らんでええ」ってなったんよね、極論ね。

なんかもう、紙ですらないというか。

「これどう飾るん?」っていう、ようわからん諸々のさ、ふわっふわのさ。(笑)

 

 

幸山さん:新聞紙ついてるし、ビニールとか風ですぐ飛ぶし、みたいな。(笑)

それを焼いたんよね。

「形に残らんでもいい」と言って描いたものを焼いたから、

『絵って何?』っていうのが、すごい なんか こう、今ぶるぶるぶるってなってる。

 

 

幸山さん: ” 「絵」じゃないものを描きました 、「絵」じゃないものを燃やしました ”

無くなって。でも無くなってない感じが、すごくしたんよね。

全然寂しくなかったし。エネルギー的にはちゃんと自分の中に還ってきた感じがした。

 

幸山さん曰く、歴史画でも宗教画を描くでもなく、

人が “自己表現としての絵” を描きはじめたのは、歴史的にみればまだ新しい行為なのだそう。

 

「わたしたち人が表現することの意味ってなんだろう?」を考えるきっかけになった会話でした。

 

そして幸山さんと一緒に、こんぴらさんの参道に描くシャッターの下見へと歩いてむかいます。

 

 

「絵はカタチに残らなくてもいいのかもしれない」

そう語ってくれた幸山さんにとって、

カタチとして残るシャッターアートはどんな位置付けなのだろう。

 

ー 参道の絵は残るけど、どんな位置づけ?

 

幸山さん:琴平は「残る」っていうところをあんまり意識してないね。

熱量がこもったら、それが一番な訳だから。

 

場所は、参道90段目あたりにある『末沢一刀斎の工房』です。

 

幸山さん:ここ(琴平)のエネルギーがもっと豊かになるようなものを作れたらいいなという感じ。

すごく良いものが、(琴平には)十分あるから、乗っからせてもらう感じ。

プラスαできるようなものになったらいいな。

絵描きさんがひとりで「どやさ!」ってやるのは違う。(笑)

 

天保6年(1835)に建てられた現存する日本最古の芝居小屋。のぼりは香川県伝統的工芸である「讃岐のり染」という手法で染める『吉野屋』さん。

 

幸山さん:空気を感じて、そのまま出すみたいな。

吸って吐くみたいな感じなんだろうね。

 

四季折々の自然が豊かで、神聖な寺社仏閣が点在している琴平の町。

 

古くから多くの人が参拝に訪れる、歴史あるこの町で、

いまを生きているタビビトだからこそ、表現する価値がきっとあるのだろうと思っています。

 

人生という”ひとり旅” をするタビビトたちへの後押しになるような、そんな願いを込めて。

 

「自分の絵」と「みんなで描く絵」

 

「自分の絵(ひとりで描く絵)」は、自身の心の声に耳を澄ませて描くことを大切にしていた幸山さん。

「みんなで描く絵」についてのお話も伺ってみました。

 

幸山さん:みんなで描く絵とは、まだ “自分の絵”と距離感があった。その絵の大きさとかが。

でも、「絵って何?」っていうところを考えると、

それを “自分の絵” のつもりで琴平の絵を描いて、最終的に大きい “自分の絵” を描くときに同じ描き方ができたら、それが多分「正解」なんだと思う。

 

 

幸山さん:それだとちゃんと自分に戻ってくるというか。

ずっと別ルートでやってきたものがちゃんと還ってくるから。

だから、今1枚描かせてもらえるのはすごくありがたいね。

 

 

幸山さんを筆頭に、みんなで描く大きなくじらは、この町をどう彩るのか。

わたしたちひとりひとりのなかから溢れるものが、

一体どんなカタチの絵で表現されるのか。

 

とても楽しみな制作期間のはじまりです!

制作の様子は自由に見学できるので、ぜひぜひ遊びにきてください。

 

天候や体調等によって制作時間は変動するので確定できませんが、

『栞や』にもお立ち寄りいただき、お気軽にお尋ねいただければと思います。

 

どうぞ、よろしくお願いいたいします。

 

▽ 『栞や』のことを知っていただけたらなと、youtubeで動画もはじめました。

よければぜひこちらもご覧ください。チャンネル登録も、よければぜひお願いします!

 

 

絵描き:幸山 将大
KOUYAMA MASAHIRO
HP: https://www.km-portfolio.com/

 

▽ シャッターアートについてはこちら

【お知らせ】こんぴらさん参道に描く”希望”、シャッター4枚分の大きな『くじら』の絵 / 2019年9月実施

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この記事を書いたタビビト:

さなえ

栞や Founder / Producer プロフィール詳細