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『記憶を巻きもどす』
from バンクーバー
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「あれ?もう届いてる..!」
ゆいちゃんからの 『旅先からの手紙』がタイから届いて、まだ2週間。
2通目の手紙はカナダのバンクーバーからだった。
頭のなかが一瞬フリーズする。
手紙の送り主は、いつの間にかアジアから欧米へと移動していた。
どおりで封筒のまとっている雰囲気が違うはずだ。
封筒だけじゃない。
出てくる紙たちは、ちょっと茶色くて、なんだか古めかしい。
「ゆいちゃん、古いものと変わったものが好きって言ってたからなぁ」
手紙の向こうにその人を想う瞬間は、どうやら 書きことば だけではないらしい。
そして、古書の1ページからつくったような封筒からでてきたのは、
一枚の古いフィルム。
思わずわぁと声がでた。
光に透かす。
吸い込まれるようなその光の先には、
遠い国の、いつかの誰かが見ていた風景がうつっていた。
突然、記憶を巻きもどされたような感覚になったわたしは、
ここではないどこかを 一瞬、旅していたのだとおもう。
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手紙 送り主 : kami/ なみえゆい 『世界の紙を巡る旅』
手紙 もらったひと:栞や さなえ
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