個性のかけ合わせが生む、豊かな予定不調和

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「お店づくりは、一つの場所でも豊かにできることへの実験」

インタビューでそう話してくれたタビビトがいた。

 

話してくれたのは、『奉還町ラウンジ・カド』店長の成田さん。
飲食店の経験やイベント運営の経験がなかった彼女は、慣れない土地で、周りの人の手を借りながらゼロからお店づくりをスタート。

そんな彼女が語ってくれたことばに、『栞や』という場所をもった今だからこそ共感できることや勇気づけられることが、わたし自身何度も増えた。

 

成田さんへのインタビュー記事は「やってみたいことがあるけれど、一歩踏み出せない」という方にも、はじめるためのヒントが散りばめられている。
この記事の最後にもリンクを貼っているので、よかったらぜひ読んでいただきたい。

 


▷インタビュー記事 「やったことがないもの」に隠れた、前に進むためのヒント/ 飲食兼イベントスペース「奉還町4丁目ラウンジ・カド」店長 成田海波

 

さて、『栞や』のカフェ営業がはじまって1ヶ月。

ありがたいことに、『栞や』を手伝ってくれる仲間と出会えるようになった。

 

「一つの場所でも豊かであるための実験」としての店づくりは、仲間が増えることで、面白みを増していく。そう感じることが増えた。

今日はそのことについて書こうと思う。

 

豊かさは「予定不調和な出来事」によって生まれる

 

カフェ営業という役割でみれば、食事の提供さえできれば十分なのかもしれない。

けれど『栞や』のコンセプトは「人生というひとり旅を豊かにする」だ。

 

この場所で起こる偶発的な出会いや予測できないこと、つまり予定不調和な出来事には、

豊かさが生まれる可能性があると思っている。

それは、決められたルートをなぞるだけの旅ではなく、何が起こるかわからない冒険の旅のようなもの。

 

『栞や』に関わってくれた人たちに、なにかひとつでも「豊かだったなぁ」と感じられる予定不調和な要素があるといいなと、わたしたちは常に思っている。

 

 

岡山から香川に拠点をうつして、2ヶ月が経ち、

「『栞や』にお手伝いにきてもいいですか?」

と言ってくれる仲間が現れた。

 

また、

「『栞や』で働きたいとおもってます!」

と言ってくれる仲間も現れた。

 

わたしたちにとっても、予定不調和ななにかが起きる予感がして、

二つ返事で「ぜひお願いします!」と答えた。

 

仲間と一緒にお店をつくる豊かさの実験が『栞や』ではじまった。

 

「個性を活かしてまざり合う」という豊かさ

 

関わる人が増えるということは、個性が増えるということだ。

 

その人が過去に経験した出来事も違えば、興味の対象も違う。

そうかと思えば、異なる出来事のなかに共通点が見え、点と点が繋がることもある。

 

『栞や』で 個性が発揮され、まざり合うことができれば、それは豊かだとおもう。

 

1月半ばから2月までの期間限定で、土日のカフェ営業を手伝ってくれることになった さばちゃんも『栞や』に豊かさをもたらしてくれたひとり。

 

岡山に住んでたころに出会った友達「さばちゃん」。実は会うのは2回目くらい。やはり意気投合。

 

岡山から香川まで海を越えてきてくれることになった彼女は、わたしたちと寝食をともにし、お互いのできること・価値を交換する workaway スタイルを提案してくれた。

 

workaway :  働き手を必要としているホスト(受け入れる側)と、なるべくお金をかけずに旅をしたい人(受け入れてもらう側)の、双方のニーズに応えたマッチングサービスサイト。
旅人が1日数時間の労働をする代わりに、ホストから宿と食事を提供してもらえる。
そのため、お互いにお金のやり取りはなし

3週間のイギリス滞在も無料!夫婦で「workaway」を使ってみた – より引用

(ちなみに『栞や』はマッチングサービスサイトは経由しておらず、顔と顔を合わせた事前のやりとりで成立したため「トモダチworkaway」というイメージ。)

 

 

さばちゃんは、民藝やアート、茶道などに詳しい。

人名や年代などを交えた歴史的な背景もスラスラとでてくるほど、知識が豊富だ。

ざっくりとしているわたしとは違っていて、すごいなぁと感心するばかり。

 

そんなさばちゃんは、3月から半年ほど世界を旅することが決まっている。

「ともだちに会いに行く旅 」+「アートと暮らしを巡る旅」をテーマに旅をするという。

 

旅にでて日本にいない間に、

彼女が大切にしているタラブックスの本を『栞や』に展示してもらえることになった。

 

 

『タラブックス』は、

「職人による手づくりで一冊の本をつくっている」

「社会の流れに対して、幸せであるために 小さくあることを決めている」

というスタンスの、南インド・チェンナイにある出版社だ。

 

奇跡の出版社ともいわれる『タラブックス』の豊かな暮らしぶり・働きぶりについては『タラブックス インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる』を読んでみるといいと思う。

 

「本を眠らせておくよりも、『栞や』でみんなに手にとってみてもらった方がきっと本も嬉しい」という、彼女の本への愛情をうけて。

開くと”インクの匂い”と”人の気配”が残る、色鮮やかなタラブックスの本が『栞や』に置かれている。

 

 

民藝やアートの世界に惹かれる彼女のセンスで選ばれた本だからこそ、偶然この場所で出会うであろう誰かに発信したいと思った。

「暮らしとアートをまぜること」と「社会のなかでどうありたいか」を表現するかのようなタラブックスの作品は、『栞や』で目指す在り方とも重なる。

 

さばちゃんのいる 2月2日・9日・10日のうちに、

よければぜひ本を手にとって、彼女から直接お話を聞いてみてほしい。

 

茶道にも詳しい一面を発揮して、2月9日に『夜のお抹茶とお菓子の会』(仮タイトル)も企画したいなーと考え中だ。

 

 

彼女のオリジナルのフィルターを通して経験している 人生という”ひとり旅”。

その話は、なにげなく語ることばのなかにも、思いがけないヒントがあるかもしれない。

 

「”ひとり旅”を肯定し、応援しあえる」という豊かさ

 

場所をもったばかりのわたしたちにとって、何度も通ってくれて力を貸してくれる仲間の存在はなんと心強いことか。

出会いのきかっけはSNSでの情報発信なのだから、届けたい人に届いたことの嬉しさったらない。

 

カフェのOPEN初日に、ひとりで『栞や』を訪ねてくれた男性がいる。

 

「自分のできることで、手伝えることがあったら手伝いたいです」

と話してくれた。

 

1月、外は寒いのに壁まわりのDIYにも挑戦してくれた

 

ひとりでアクションを起こす。

これって、すごく勇気のいること。

 

彼は、まっすぐなことばで、わたしたちを応援してくれる。

 

「こんな近くで、素敵で面白いチャレンジをしているんだから、応援したい。

“旅”というコンセプトもいいなって思ってます。もっといろんな人に知ってほしい。」

 

まっすぐな想いで広がる人の繋がりは、この場所をあたためる豊かさがある。

 

 

なんと実際に、彼の紹介で『栞や』に訪れてくれたお客さんが複数組いて、驚いた。

みなさん、あたたかくてわたしたちのことを応援してくれる人たちばかり。ありがとう。

 

きっと、彼も “ひとり旅” をしている。

わたしたちとまざりながら、『栞や』をつくりながら、お互いに応援しあえたらなと思う。

 

それぞれの人生という”ひとり旅”を肯定し、応援しあえる場所であること。

それも『栞や』が目指す、豊かさの実験のひとつだ。

 

個性がまざる豊かさを楽しむ

 

「お店づくりは、一つの場所でも豊かにできることへの実験」

そう話してくれた、冒頭の成田さんのことば。

仲間の存在で、少しずつだけど、わたしにもそう思える時間が増えている。

 

2018年2月、土地からつくる『ゲストハウス構想説明会』をしたときの様子。

 

振り返ってみれば、『栞や』をはじめると言い出したときから

仲間の個性の力に、めちゃくちゃ助けてもらっている。

 

『栞や』のリノベーションは、たくさんの仲間に力をかりて自分たちで行った。

 

人生という”ひとり旅” に喜びの光が差し込むよう願いをこめた『お守り栞』。絵描き幸山さんとの出会いがきっかけで生まれた。

 

廃材を使ってみんなでつくった屋台。友達が図面からつくってくれた。

 

成田さんがみているお店づくりの面白さと、わたしが今みているお店づくりの面白さ。

 

豊かさの実験の内容は同じではないけれど、

共有できる面白さの感覚は増えたと思う。

 

お店づくりにはまだまだ面白い可能性が眠っているんだと、希望がみえる。

 

自分では個性とも思ってもいないかもしれないそんな魅力が発揮され、その個性がまざり合う。

個性がまざることで、予定不調和がはじまる。

そんな豊かさを探る実験は面白い。

 

わたしたちにとっても、『栞や』を訪れた人にとっても、予定不調和によって起きる豊かさの実験を楽しめる場所でありたいと思う。

 

▷ 成田さんのインタビュー記事はこちら
『「やったことがないもの」に隠れた、前に進むためのヒント/ 飲食兼イベントスペース「奉還町4丁目ラウンジ・カド」店長 成田海波

 

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この記事を書いたタビビト:

さなえ

栞や Founder / Producer プロフィール詳細