“ひとり旅”で見つけた感性が巡ること – みそだまWSを終えて –
『栞や』でいう “ひとり旅” は、
そのままのことばが持つ意味としての “ひとり旅” とはちょっと違うかもしれない。
五感をつかって自らの心の声を聴くこと。
その声に耳を澄ませて、自分らしく人生を歩んでいくこと。
それが『栞や』でいう “ひとり旅” 。
だから、たとえそれが ふたり以上でも、
小さな声を聴くための “ひとり旅” はできる。
ひとりの旅と ひとりの旅が交差して、
新しい「何か」が生まれる瞬間に やっぱりわくわくしてしまう。
点と点が繋がる瞬間。それはまるで、ものがたりを編むような感覚。
新しい「何か」がうまれる瞬間に向かって、
“ひとり旅 “をしているタビビトたちと歩いていたい。
今日は、先日おこなったイベントで、
あるタビビトの “ひとり旅” を分かち合った時間 について書こうと思う。
発酵からみる “自分を信じて自立する力”
先日、暮らし発酵家のカワノアカネさんによる『みそだまづくり』のワークショップを開催した。
「みそだま」は、お湯を注ぐとあっという間にお味噌汁になるよう味噌を丸めたもの。
ワークショップでは、
「なぜ彼女がみそだまと出会うことになったのか」
「なにを大切にして”ひとり旅”をしてるのか」
について、話を共有するところからはじまる。
カワノ アカネさんは、東京都出身。
息をしているだけでお金を消費している感覚だった、という生まれ育った東京での暮らしに、20代の頃から、違和感を持ちはじめるようになった。
「もっといろんな暮らしをみてみたい」と直感的に感じた彼女は、
熊本県にある『エコビレッジ サイハテ』へひとりで向かい、そこで暮らしはじめることになる。
そこで体験した『みんなでつくる暮らし』に、衝撃を受けたというカワノさん。
東京では見つけることのできなかった、彼女の暮らしづくりへの興味と関心。
その探求は、膨らんでゆく。
心の声に耳を澄ませて、行き先を決める。
お米づくりやお酒造り、それから発酵の世界へと、彼女の旅がはじまっていった。
7〜8年間かけて、各地のコミュニティづくりに関わり、暮らしづくりや発酵を学んできた彼女。
彼女は発酵をとおして、
五感をつかって自ら判断する力を養い、自信がついた と語ってくれた。
カワノさん:
発酵も腐敗も、化学的には起こっている現象はおんなじなんです。
分解されたあとの状態を「おいしいな」って感じるか「なんか臭い..」って感じるか。それは人それぞれ。
自分の鼻で匂いをかいで、指で触って、ぺろっと舌で確かめて。
そうして ひとつひとつを自分で判断していく。状況を見極めていく。
賞味期限だって、本当は 誰かが決めた判断のひとつなんです。
自分を信じて 自立すること。
この感覚を彼女は発酵から学び、経験することで、心の声を聴く力をつけてきた。
ただ、「ひとりで自立すること」と「孤立すること」は違う。
「みんなでつくる暮らし」を目指す彼女がみそだまワークショップをとおして伝えたいことは、誰かのほっとする一杯をつくること。
つまり、その先にいる人を想うことだった。
誰かのほっとする一杯をつくる
味噌をころころ手で丸め、好きなデコレーションをつけていく。
色とりどりで個性豊かな、かわいい みそだまたちが次々とできあがる。
その様子を眺めているのが、わたしはすごく心地よかった。
カワノさんのことばで印象的だった、
「みそだま一個分は、誰かのほっとする ひととき 一回分なんです」というフレーズ。
このフレーズこそ、『みんなでつくる暮らし』を軸に発酵を学んできた彼女だからこその視点なのだと感じた。
ワークショップでは ひとり6個のみそだまを持ち帰るように準備してくれていた彼女。
持ち帰り用の箱には、6個用の他に、3個ずつ小分けにできるような小さな箱も準備してくれていたのだ。
小さな箱を用意した理由は、誰かに贈りたい人 のため だった。
前半のワークショップで、
「誰かに贈りたい人は、こちらの3個用のギフトボックスをお使いくださいね」
とアナウンスしたところ、
なんと、みなさんが贈りもの用の小さな箱 を選んでいた。
わたしたちは午前と午後のワークショップで、この日、
合計99個のみそだまをつくった。
99回分の、誰かのほっとするひとときが生まれたことになる。
自分のためや誰かのためへの 贈りもの に形を変えて、巡っていく。
参加してくださった方からは、
「ひとつは離れて暮らす旦那さんに。ひとつは習い事の先生に渡します」
「冷蔵庫に隠しておいて、母にプレゼントします」
と、そんな風に教えてくれた。
“ひとり旅” で見つけた感性は 巡る
カワノさんが自分の感性に導かれるままに “ひとり旅” をしたことで、
わたしたちは発酵について知り、
自分のためや誰かのために「ほっとするひととき」を作りだすことができた。
今回のイベントは、
『暮らしを彩る発酵手しごと みそだまづくり』とタイトルをつけていたのだけど、
それぞれが暮らしに持ち帰り、自分への、誰かへの、
ほっとする一杯を分かち合ったことだろう。
“ひとり旅” で磨いた感性は、
こうしていつか形となって、誰かのもとへと巡り、暮らしを彩ってゆく。
ひとりのタビビトが 心の声を聴いて歩んだからこそ生まれる、モノや時間。
モノでも、ことばでも、時間でも。
ひとりの旅を分かち合うことは、のちに繋がる
思いもよらなかった可能性を秘めている。
『栞や』では “ひとり旅” をしたからこそ見えた景色を、
小さくても分かち合うような機会やモノをつくっていきたい。
そうしてきっと、
またあたらしい「ものがたりを編む」ことへと繋がっていくのだ。
次回イベントのお知らせ
7/15 (祝月)開催
『大切な本をあの人へ、記憶に挟む贈りもの』 feat 三松文庫
:
日時:2019年7月15日(祝月)13:00 〜 16:00
場所:『栞や』
(香川県仲多度郡琴平町1063-2)
参加費: 1,500円
(本に添えるお好きな『お守り栞』1枚 、便箋、1drink付き)
※ 別途、本の郵送費用については実費負担となります
(目安 180円〜510円)
持ち物:あなたが好きな贈りたい本1冊
※ 三松文庫さんセレクトの『シチュエーションで選ぶ だれかに贈る本』から買っていただいてもOK!
内容:
・贈りたい本・贈りたいひとについてのブックトーク
・栞 を選ぶ時間
・手紙をかいたり、本を梱包する時間
・琴平の町歩き
・ポストへの投函
(参加人数によっては、終了時間が前後する可能性があります)
お申込:
下記のお申し込みフォームよりご予約をお願いします。
https://forms.gle/qJeWE4qdZB4F9AzW9
お問い合わせは、コメント・メッセンジャー・メール( info@shioriya.net )にてお気軽にどうぞ。
各種SNSからのお申し込み・お問い合わせもしていただけます。
①参加ボタンコメント
②メッセンジャーやDM
FBイベントページはこちら
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当日は 11時〜OPENしております。
三松文庫さんのセレクトする『シチュエーションで選ぶ だれかに贈りたくなる本』とともにお待ちしております。ぜひこちらにもふらりとお立ち寄りくださいね。(←ご予約不要)
○本のタビビト: 三松文庫
プロフィール
こんにちは。
私たち三松文庫は大学時代の友人3人組のグループです。
「本を通して人を知る、人を通して本を知る」というコンセプトで活動しており、一箱古本市などのイベント参加やhontopiaというメディア更新をしています。
読書が好きな方も、あまり本を読んでこなかったなーという方も。
あなたが好きになる本、誰かに贈りたくなる本、シーンに合わせてぴったりな本をご提案します。気軽に話しかけてくださいね☺︎