次の時代は、贈る文化を育む時代になるといいな / 『手紙を贈る旅』のはじまり
手紙を書くための、ひとりの時間が好き。
わたしが「ことばを書きたい」と思うときは、
誰かに届けたくなるような感情を見つけたときとか、
誰かに贈りたくなるような気持ちに出会ったときとか。
そういう気持ちが、内側から湧きあがったとき。
一方で、誰にも見せない、けれど、自分の波を知るために、毎朝日記を書きはじめた。
自分のためだけの日記。
その日起きた出来事とか、うれしかったこととか、感謝できることを書いている。
書いたり書かなかったりだった日記を
2ヶ月ほど毎日書きはじめて、気づいたことがある。
内側に湧きあがった想いを 届けるために 手紙を書く時間と、
自分の波を知るために 日記を書く時間。
「ことばを書く」という行為は同じでも、書いたわたしが受け取る感覚は、違うということ。
今日は、栞に添えて手紙を贈るときの時間について、書こうと思う。
手紙を贈る時間に流れているもの、
そして、贈ることでその先に広がるわたしがつくってみたい世界のことを、
一緒に想像してみてもらえたら嬉しいなと思う。
また、手紙は「贈りもの」だと思っているので、
送るではなく、あえて「贈る」という漢字のほうを選んでいる。
手紙を贈るまで
ゆったりと流れる時間が、たっぷり必要
最後に手紙を書いたのは いつだろう。
しばらく書いてないな、という人もきっと多いと思う。
手紙を書くという行為は、
自分とも相手とも向き合うために、時間をたっぷりと使うから。
自分にも相手にも寄り添う時間は、忙しさのなかで見失いやすい時間になってしまった。
手紙は、ひとりで書く。
けれど、贈る相手がいるから、ひとりではない。
贈りたいと思う相手がいることを、
まずはよくよく感じてみるところから始まる。
自分にとって、相手はどんな存在で、
自分はいま、どんな気持ちを届けたいと思っているのか。
だから、手紙を書くには、気持ちを拾いあげるための時間がたっぷりあるといい。
想いを伝えることばが見つかるのを待つ
相手に贈りたい気持ちを見つけたら、今度は、
どんなことばで伝えるのかを探す時間になる。
まだ書けない。
けれど焦ってことばにすると、自分が納得いかないのも目に見えているので、仕方がない。
ことばになるのを待つ時間。
書くまでの時間も、わたしはとても好き。
「贈る」という気持ちをのせる
手紙が日記と違うことは、届ける相手がいること。
自分用のメモ書きならさらっと書いてもいい。
けれど、不思議なことに、
相手に「届けたい」という想いが強くなるほどに、
なぜだかことばを書く手の動きはゆっくりなってしまう。
こちらは、『世界の紙を巡る旅』をしているkami/のなみえゆいさんから毎月届くお手紙。
受け取るたびに、彼女の細やかな手しごとが、いたるところに感じられる。
ことばをのせる紙から選ぶ彼女。
この繊細な紙にことばを一文字ずつのせるとき、
きっと、ゆっくりとことばをのせてくれたのだろうなと思う。
想いをこめて封をする
大切な人へ、想いをのせた手紙が書けた。
この段階ですでに、わたしの満足度はかなり高い。(笑)
けれど、一番好きなのは、手紙を便箋に入れて、封をするとき。
最後の最後に、想いをつめこむ瞬間。
同封する『お守り栞』にこめた願いものせているので、
余計に想いがこもっていると思う。
手紙の重さは25グラムくらいだけど、
気持ち的には、たぶん、もっと重い。(笑)
『お守り栞』には、
自分の感覚を信じて自分らしく歩む “ひとり旅” のお守りになりますように。内側にある光が輝きますように。
そんな祈りを込めている。
手紙を贈るまでの時間に、わたしは満たされてしまう。
琴平の町から投函する
古い丸型の赤ポストが立ち並ぶレトロな町、琴平
『栞や』がある琴平町は、昭和40年代まで定番だった郵便ポストが点在している。なんとその密度は、日本一。
町を散歩しながら、見つけることができる。
古いポストは、投函口がひとつしかないため、容量が少なく、集荷効率が悪いということから昭和45年以降、四角いポストへと置き換えられていったのだという。
手紙を出す機会は、暮らしのなかで減っている。
文字を手で書く機会は、自分の想いを拾ってカタチにする時間。
大切な人へ想いを表現する機会が少なくなっていくのでは、と想像するだけで、とても寂しくなる。
効率化を求められた時代は、
これからきっと、次の時代へと移り変わる。
モノでも、気持ちでもなんでも、
「贈ること」は次の時代の豊かさをつくっていくヒントのように思う。
人が想いを贈る文化を育む時代 になるといいなぁ。
贈ることの背景を、どれだけ想像できるか。
きっと、想像力を試される。
手紙が巡ることは、想いが巡ること。
大切な人が、大切な人へと贈る想いの循環をみてみたい。
時間をかけることと、
想いが巡る機会をわたしは失いたくない。
旅先の小さな書斎から、手紙を贈る旅を
人が旅をする理由は、たくさんある。
「日常を一歩出て、非日常を体験する」という理由があるのなら、
わたしは『手紙を贈る旅』があったらいいなと思うようになった。
日常では見落としてしまいやすい、自分の声を拾いあげる時間。
大切な人へ、想いを届ける時間。
日常から一歩でることで、
旅先では、本当に大事なものを見つめるための時間は生まれやすい。
古くから多くの旅人が願いとともに訪れてきた『こんぴらさん』のある町、琴平。
古くからの歴史や文化とともに受け継がれてきたこの土地だからこそ、これからの時代に大切なものを育む土台がある。
ひとりの時間に浮かびあがる心の声。
その声をカタチにして表現し、大切な人へと循環させる旅のきっかけをつくってみたい。
旅先から想いを贈ることで、
旅と暮らしが繋がっていくきっかけになるといいな。
そんなことを想像しながら、とてもわくわくしている。
旅先から贈る一通の手紙から、
あなただけの物語が新たにはじまることを夢見て。
手紙を書くときのおともに、喫茶もぜひどうぞ。
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今のあなたに寄り添う、絵とことばのお守りとなりますように。
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『栞や』の2階には、『旅先の小さな書斎』をつくっています。
古い丸ポストの並ぶ 琴平の町から、大切な人に手紙をおくる時間を過ごしませんか。
封筒と便箋はご自由にお使いください。
切手をご用意しているので、手紙に封をして、そのまま旅先の古い赤ポストから手紙をおくることができます。
旅先で、大切な人への想いをカタチにする ひとり旅 の時間をお過ごしください。